金属アレルギーを治したい

以前からネックレスやイヤリングなどのアクセサリーに用いられている金属で、アレルギー症状を引き起こすことはよく知られています。最近では、歯科治療に用いられる金属やレジンなどの修復物や詰め物が原因で、口の中の粘膜ばかりではなく全身の皮膚がかぶれ、ただれなどの症状に悩む患者さんがテレビや雑記などで取り上げられるようになりました。いわゆる歯科金属による金属アレルギーです。

金属アレルギーの症状

歯科金属アレルギーは、原因が口の中の金属であっても、口の中に症状が出るとは限りません。手のひらや足の裏やお腹などに発症することがあります。そのため症状のある部位に薬を塗っても、原因が取り除かれない限りは根本的には治らないわけです。湿疹やかゆみの他にも、アトピー性皮膚炎の原因になるとも言われています。

1.口内炎

口の粘膜に口内炎が繰り返しできることがあります。

2.掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足のうらにブツブツとした水泡ができたり、かさぶたのようなものができてはただれてしまう、ということを繰り返す病気です。家事もままならなくなったりするほどひどくなることもあります。歯科金属アレルギーとの関連が深いことで知られています。

3.アトピー性皮膚炎

口の中の修復物が原因となり、口とは全く関係ない体の部分に湿疹が繰り返しできたり、アトピー性皮膚炎のような症状を引き起こすこともわかってきています。

4.扁平苔癬(へんぺいたいせん)

頬粘膜に線状・レース状・網目状の白い線ができる病変です。発生にはアレルギーが深く関与していると考えられており、上皮の角化、びらん、潰瘍などの症状を伴います。前ガン病変でもあり、まれにガン化することもあるため、特に注意が必要です。

5.天疱瘡、類天疱瘡(てんぽうそう、るいてんぽうそう)

歯肉が帯状に赤くなり、広範囲にわたる水疱性変化や、臼歯部歯肉の潰瘍などが見られることがあります。

6.エリテマートス、円板状エリテマートス

唇がただれて、歯肉や喉に潰瘍を生じることがあります。

7.シェーグレン症候群

主に中年女性に好発する自己免疫疾患です。特に唾液腺に影響を及ぼすため、口腔粘膜の乾燥や発赤、口角炎、舌の亀裂を生じさせます。

8.血管浮腫

まぶたや口唇に突然生じる腫脹です。原因ははっきりとはしていませんが、日光、寒冷、運動、疲労、ストレス、食物、薬剤などによる影響も関係してます。

メタルフリー治療

ここで誤解がないようにしていただきたいのは、歯科治療での金属が必ずしも悪いということではありません。私たちの身の回りには金属で作られた製品であふれてますし、実は食べ物の中にも金属成分は含まれています。しかし金属アレルギーの人は、歯科治療であってもアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。そのため金属を使わず(= metal free)、セラミックで治療していくメタルフリー治療(metal free treatment) が注目されています。

メタルフリー歯科治療の目的は大きく分けると3つあります。

  • 金属アレルギー、アトピー性皮膚炎の治療としてのもので、原因となっている口腔内の金属物質を除去し、金属を用いずに治療、修復を行う。
  • 現在、金属アレルギー、アトピー性皮膚炎などの症状はないが、それらを予防するために、金属を用いずに治療、修復を行う。
  • 審美性を重視して、自然の歯に近い色艶のあるセラミックスなどで治療、修復を行う。

金属によるアレルギー症状があった人には非常に効果的な治療です。また現在金属アレルギーがない人でも、いずれアレルギーを引き起こす可能性があるので、将来のアレルギー症状を予防でき、見た目もきれいなことは大きなメリット、アドバンテージといえます。

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