むし歯をきれいに治したい

急に歯が痛み出し、むし歯になったことはありませんか?歯が黒くてむし歯なんだろうけど、痛くないからもう少し様子見よう、とほったらかしにされていらっしゃる方も意外に多いのではないでしょうか?むし歯にも進行度があります。表面的なむし歯ですと、一回の治療できれいに治すこともできますが、歯の神経まで進行しているようなズキズキ痛む深いむし歯の場合、治療回数もかかります。

成人の約90%の方が、むし歯治療の経験をしたことがあるという調査結果があります。また、一度むし歯治療をしたから、もう大丈夫という訳ではありません。2次カリエス(むし歯)といって、治した歯が再びむし歯が進行してしまうこともあります。

むし歯治療をするなら、きれいに治療して、2次カリエスにもならないようにしたいものです。きれいに治療するメリット、むし歯になりやすい人の特長や再びむし歯になってしまう2次カリエスについて詳しく解説していきます。

きれいにむし歯治療をするメリット

第一印象を決める判断材料として、「視覚から得る情報=見た目」が多くを占めているのはご存知だと思います。顔、髪型、服装、姿勢など多くの視覚情報がありますが、その中でも意外と見られているのが口元と歯です。初対面ではなくても、会話の時に見られているのは目元、口元、歯がほとんどです。話しているとき、笑ったときに白い歯が見えると、それだけで好印象を持ってもらえます。

美しい白い歯のメリット

  • 清潔感がある
  • 明るい印象を相手に与える
  • さわやかな印象を相手に与える
  • 若々しく見える
  • 笑顔に自信が持てる
  • 顔色、表情が明るく見える

歯が白いとご自身の見た目や気持ちだけでなく、周り人が受ける印象も変わってきます。保険治療だと、通常銀色のかぶせ物や、変色しやすいプラスチック材質で治療することになります。銀歯が多かったり、変色した歯が見える前歯にあると、口の中が暗く見えるだけでなく、相手に与える印象はあまりよくありません。さらに歯が抜けたままだったり、口臭があったりすると、もう最悪です。自分自身の歯をじっくりと見る機会は少ないかもしれませんが、周りの人から意外と見られているのが口元と歯。素敵な第一印象を残すためにも、むし歯はしっかり治して、白く美しい歯にしていきましょう。

注意!!気づかないうちに進行する2次カリエス

大人のむし歯で注意が必要なのは、一度治療した後にもう一度むし歯になってしまう、2次カリエス(むし歯)です。どうして一度治療したのに、また再びむし歯になってしまうのでしょうか?

1.つめ物、かぶせ物の劣化や破損

かむ力は非常に強い力でして、つめ物やかぶせ物も時間の経過と共に劣化したり、破折して壊れたりすることもあります。破折や劣化してしまった部分から、むし歯が進行してしまうのです。そのため修復物は出来るだけ強度のあり、劣化しにくく壊れにくい材質で治療することをお勧めします。

2.むし歯の取り残し

むし歯を完全に取り除くことは、実は非常に難しいことなのです。むし歯になっている部分は軟らかいので、歯科医師の手の感覚で、むし歯を取り除いていきます。しかし経験の浅い歯科医師や器具が届かないといった盲点となる部位にむし歯があると、取り残し部分が少しは残ってしまいます。取り残しがあるままつめ物やかぶせ物をしてしまうと、すぐに悪化していくわけではありませんが、数年するとその下でむし歯が進行してしまっていることもあります。

3.つめ物、かぶせ物と自分の歯との境目

どんなに精密につめ物やかぶせ物を作っても、歯との間には境目があるものです。治療したからといって、日々の歯磨きがおろそかになってしまうと、その境目からむし歯になってしまいます。歯磨きはもちろんのこと、デンタルフロスなどの糸ようじも併用して使うことで、すき間からのむし歯を予防することができます。

4.歯科用接着剤の劣化

歯とつめ物をつけるために、接着剤を使用します。しかしその接着セメントも咬む力や唾液により、弱くなったり、劣化していき、目に見えないにしてもすき間ができていきます。そのすき間が大きくなっていくと、つめ物が外れるだけではなく、そこにむし歯ができてくるのです。接着剤や詰め物の種類も改良されており、より歯と接着するものを選択することで二次カリエスを防止できます。

5.適合の悪いつめ物やかぶせ物

歯とぴったり合っていない適合性の悪い修復物だと、当然すき間や段差ができるので、再びむし歯になりやすいです。保険治療の材料だと適合性が悪いことも多いので、注意が必要です。

大人がむし歯になってしまう原因

子供と大人とではむし歯になる原因が少し違ってきます。もちろん歯を磨かなかったり、甘い物を食べてそのまま寝てしまうと、当然むし歯にはなります。ここでは大人がむし歯になってしまう原因に焦点をあてます。

1.2次カリエスになりやすい

先ほど書いたように、2次カリエスには要注意です。銀歯などのつめ物やかぶせ物の下で再びむし歯になってしまう2次カリエスは、大人のむし歯で一番多いと言われています。一度治療したら大丈夫とか、銀歯で金属だからむし歯にならないと思うのは大間違いです。治療した歯は、天然歯に劣ります。治療したからこと、一層注意して磨いていきましょう。

2.歯ぐきが下がって、歯の弱い部分が出てくる

年齢を重ねるにつれ、加齢や歯周病の進行によって歯ぐきが下がり、もともと歯ぐきに隠れていた歯の根っこの部分が露出してきます。この歯根部は、歯といえどもやや軟らかいのです。歯の頭の部分は、エナメル質という非常に硬い層があるので、むし歯に対する抵抗性があるのですが、歯根部にはエナメル質がありません。そのため着色がつきやすく、むし歯にもなりやすい部位なのです。「今までむし歯など1本もなかったのに、年を取ってからむし歯ができてきた」という方は、このようなことが原因であることが多いです。

3.以前歯の神経を取る処置をして、痛みを感じない。

以前深いむし歯で神経を取る治療をした後、かぶせ物を入れられた方は要注意です。1本や2本、むし歯治療で歯の神経を抜いた経験のある人は結構いらっしゃると思います。神経のない歯は、その後どんなにむし歯が深く進んでいっても痛みを全く感じなくなります。またそのような歯には銀歯などのかぶせ物をいれているので、金属がむし歯になるわけないと思われる方も結構いらっしゃいますが、それは大間違いです。かぶせ物の内部でむし歯ができてしまうことはよくあります。痛みもなく、見えないため気づきにくいのが特徴で、そのため気づかないうちにむし歯が進みすぎて、歯を抜かなければならないということがあります。

4.唾液が減り、むし歯になりやすくなる

口の中の唾液は食べ残しや菌を洗い流す役割があります。そのため唾液の量が減ると、それだけむし歯になるリスクが高まります。唾液の分泌量は生活習慣、ストレスなどで左右されやすく、最近では唾液の量が減る「ドライマウス」の人が増えています。また普段飲まれている薬の影響で唾液量が減ることもあります。

5.親知らずが原因でむし歯になる

親知らずが生えてこない方も多いのですが、一番むし歯のリスクが高いのは、中途半端に顔を出した親知らずです。斜めに生えていると、必ず手前の歯とのすき間に食べかすや汚れがたまります。そうなると細菌が繁殖する絶好の場所になり、歯ぐきが腫れたり、手前の歯に大きなむし歯をつくることになります。

むし歯になるリスクの高い人の特長

1.治療した歯が多い

むし歯は全部治療済みだから安心というわけではありません。2次カリエスのこともありますし、そもそもむし歯になりやすい生活スタイルだったのではないかと思われます。治したにせよ、治療した歯が多い人ほど要注意です。

2.歯ぐきが下がっている

歯ぐきが下がると、むし歯に対する抵抗力の弱い歯の歯根部がでてきます。また歯周病である可能性も高いです。

3.口の中がよくネバつく、乾燥している

唾液が減ると口の中がネバつく感じや乾燥した感じになります。乾燥するとむし歯菌が増えやすくなります。また糖尿病、薬をたくさん服用されている方、シェーグレン症候群の方も唾液の分泌が落ちるので、むし歯ができやすくなります。

4.間食や糖分の摂取量が多い

お菓子をついついよく食べる人はもちろん言うまでもありませんが、口さみしさによくアメをなめている方、砂糖入りのコーヒーや紅茶をよく飲む方も要注意です。

5.あまり噛まないで食事する

やわらかい食べ物を好んだり、急いであまり噛まないで食べる人は、食事中唾液が十分に分泌されません。またやわらかい食べ物は、歯と歯との間に食べ残しが残りやすいため、むし歯になりやすいのです。

6.一部生えている親知らずがある

親知らずの一部が歯ぐきから生えているような、斜めに生えた親知らずのある人は、その手前の歯がむし歯になっているリスクは高いので要注意です。

7.お酒を飲んで、歯磨きをせずに眠ってしまう

夜に歯磨きをしないで寝ることは、「むし歯になります」と言っているようなものです。それに加えてお酒を飲むと、アルコールの利尿作用で口の中が乾燥して、むし歯になりやすい環境を作りだしてしまいます。

むし歯を予防する5つの対策

1.歯磨きの仕方を見直す

朝と寝る前の1日に最低2回は磨くようにしてください。特に寝る前は丁寧にお願いします。できるなら昼食後もお願いします。またデンタルフロスや歯間ブラシも併用されると効果的です。

2.糖分の摂り方に気をつける

糖分が口の中に長時間とどまらないように、間食は時間を決めて食べるようにしましょう。あまい物を食べたら、水を飲んだり口をゆすぐようにして、お口に残っている棟分を洗い流すようにしましょう。

3.意識的に唾液が出るようにする

お食事はよく噛むようにして食べましょう。唾液が出る量が増えます。また軟らかい物ばかりでなく、繊維質のものもバランスよく食べてください。シュガーレスやキシリトールのガムをかむこともいいでしょう。

4.歯科医院で定期的に検診とクリーニングを受ける

定期的にむし歯のチェックを受けたり、数カ月で付いてきた歯石や磨き残しをしっかり取り除き、きれいにしてもらいましょう。

5.一部生えている親知らずは抜歯する

一部だけ生えているような親知らずは、むし歯になるリスクも高く、いずれトラブルを起こす可能性が高いため、できるだけ早く抜くことをお勧めします。

定期検診の重要性

治療した歯も2次カリエスで再びむし歯になることがあります。また歯石やいくら丁寧に磨いても磨き残しはあるものです。定期的な歯科医院での検診を受けることで、歯を長持ちさせることができます。

1.歯磨きの状態チェックと着色、歯石除去

毎日丁寧に磨いていても、磨き残しはあるものです。またしばらくすると必ず歯石は付着してきます。それらは放置していると、取りにくくなるだけではなく、むし歯の原因や口臭にもつながります。そのためきれいに歯石除去していきます。もちろん着色も除去します。

2.むし歯、2次カリエスの早期発見、早期治療

もしむし歯ができも、痛みが出る前であれば神経を取らずに治療できます。深く進行した2次カリエスであったとしても、早期発見することで、抜歯等を回避できるかもしれません。

3.つめ物、かぶせ物があっているか

最初はぴったり合っていたつめ物やかぶせ物も、長年たつと欠けたり、劣化していきます。そうなると、適合性の良くない不良補綴物となってしまいます。その場合は、むし歯になったり痛みが出る前に再治療をすることをお勧めします。

4.歯周病が進行していないか

歯周病は進行していても気づきにくいものです。歯ぐきからの出血や歯が揺れてきているような患者さんが気付くような時には、かなり進行している状態であることが多いです。むし歯同様早期発見、早期治療を心がけましょう。

5.レントゲン写真の活用

定期的にレントゲン写真で撮ることで、歯周病の進行具合のチェックや、目では確認しづらい歯と歯の間や、つめ物の下のむし歯を発見することができます。

治療法

せっかくきれいに治療をした歯がまたむし歯になってしまうことは、とても残念なことです。大人のむし歯の特徴は「見えにくく、気づきにくく、いつの間にか進行している」ことです。痛くないから大丈夫とか、見える範囲で問題なさそうだから大丈夫と判断せずに、歯科医院で定期検診を受けられることをお勧めします。

治療法もむし歯の進行具合によって違ってきます。しかしどちらにせよ、むし歯を治すのなら、材質のよい材料や強固な接着剤を使用されることをお勧めします。強度や耐久性が高く、快適な機能性、白く美しい審美性、生体親和性のよい材質は、それなりに治療費は高くなります。しかし、それに対する対価はそれ以上の計り知れないものがあります。2次カリエスにもなりにくく、質の高い治療は歯を守るので、結果的に長持ちすることにつながります。

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