さとう歯科に来院された患者さんの中には、歯が数本抜けたまま放置されている患者さんもいらっしゃいます。その患者さんもこのままでいるのは良くないことは頭では分かっているけれども、「あまり目立たないから」「反対側でかめるから」「忙しいから」というような理由で放置されてしまっていることがあります。しかしすべての歯にそれぞれ役割があり、かみ合わせがしっかりしていてこそ、かんだり話したりという機能をしています。
実は1本でも歯を失ってしまうと、歯のかみ合わせだけではなく、体全体のバランスが壊れはじめて、日常生活に次々と影響を及ぼし、取り返しのつかないことになってしまうのをご存知でしょうか?1本でも歯が抜けたまま放置するとどのような悪影響が起きるかお話ししていきます。
歯が抜けたまま放置すると起こりうる10のこと
抜けた歯を放置すると次のようなことが起こってきます。
1.かみ合わせの崩壊
抜けた歯のスペースを埋めるように周囲の歯が移動したり、倒れたり、伸びてきたりすることで、かみ合わせや歯ならびが崩れてきます。そのまま放置していると、より一層かみ合わせが悪くなり、咬合崩壊していきます。
2.むし歯になりやすくなる
歯が抜けたスペースに食べかすが残りやすくなります。その部分に磨き残しがたまりやすくなるため、むし歯ができやすくなります。
3.歯周病
歯がない隙スペースができれば歯周病にもなりやすくなります。磨き残しがたまり、歯石になっていくため歯周病が発症してしまいます。その上さらにかみ合わせが崩れていくと、歯に異常な力が加わることで、歯周病が進行しやすくなります。
4.はっきりと話せなくなる
話そうとしても空気が抜けて、うまくはっきりと話せなくなります。
5.顎関節症
かみ合わせがずれることで、あごの関節や周囲の筋肉に異常な力が加わり、顎関節症を引き起こします。顎関節が痛くなったり、変な関節音がするようになったり、口が開きづらくなることがあります。
6.老けて見える
頬がこけてほうれい線が目立つようになったり、顔のたるみを引き起こします。いわゆる老人性顔貌になり、年齢よりも老けて見えるようになります。
7.歯ならびが悪くなる
奥歯が抜けた状態を放置していると、前歯部にかむ力が集中するので、下の前歯が上の前歯を突き上げて、上の前歯が出っ歯になってくることがあります。
8.頭痛、肩こりなどが起こる
歯がない場所ではかめないため、かみ合わせがずれてきます。片方ばかりでかむことになると、筋肉がアンバランスに働き、周囲の筋肉にも影響が及んで頭痛や肩こりが起こる場合があります。
9.胃腸に負担がかかる
しっかりとかめないまま飲み込むことで胃腸に負担がかかります。また、あまりかめないので唾液の分泌も落ちます。唾液は重要な消化酵素の一つであり、唾液量が減ることで消化不良を起こします。
10.認知症のリスクが高まる
かむということは、脳に刺激を与えます。かめなくなっていくと脳への刺激が減って認知症にかかりやすくなると言われています。実際に歯の状態が良い人は認知症になりにくいというと研究結果が出ています。
放置する歯の本数や期間にもよりますが、以上のような悪いことが起こる可能性があります。放置する本数が多ければ多いほど、期間が長ければ長いほどそのリスクは高まり、改善するためには、治療期間も治療費もかかってしまいます。ではどのような治療方法があるのでしょうか?
歯牙欠損部に対する治療
歯を作っていく治療は大きく分けて、義歯治療、ブリッジ治療、インプラント治療の3つの方法があります。それぞれ口の中の状況に応じて、適した治療と出来ない治療があります。歯科医師に診断してもらい、最適な治療を選択してください。
歯を失ったまま放置はせず、できるだけ早く治すようにしましょう。周りの歯やお口全体への影響を最小限にとどめることができ、生活への影響も少なくてすみます。