ガラスセラミックス系 IPS e.max- ips e.max -

ガラスセラミックス系 IPS e.max (イーマックス)

・二ケイ酸リチウムガラスセラミックス

二ケイ酸リチウムガラスを主成分とした歯科セラミック材料、主にIvoclar Vivadent社のe.max(イーマックス)という加工システムについて説明していきます。

e.maxの主成分である二ケイ酸リチウムは高い曲げ強度(360~400MPa)を有するセラミックス材料で、1本の歯でクラウンを製作した場合には非常に高い耐久性を持ちます。

pic1

・ カメレオン効果

e.maxは、適合制度に優れ、高い曲げ強度を持っていますが、カメレオン効果を有しています。カメレオン効果とは、修復材料と残存する周囲の歯質あるいは天然歯とが同調して見える効果のことを言います。e.maxには、天然歯とよく似ている光の散乱性、透過性、反射性、蛍光性といった特徴を持っています。そのため周りの色調を取り込み、調和するカメレオン効果(セルフカラーマッチ性)があります。透明感の異なる種類の色調のe.maxがあり、天然歯質とカメレオン効果による調和のとれた修復が可能となるのです。

・特徴

臨床応用され10年以上経ち、広く使用されているe.maxの特徴です。

長所
  • 見た目が非常にきれいに仕上がる
  • 高い強度がある
  • 変色が少ない
  • 汚れ(プラーク)が付きにくい
  • 透明感が高い
  • かみ合わせの強い、くいしばり、歯ぎしりをする方でも治療できる
  • 歯と非常に強固に接着するため、治した部分から虫歯になりにくい
短所
  • 薄い部分は一部欠けてしまうことがある
  • 複雑な色付けには限界がある
  • 透明度が高いため、元の歯の色の影響を受ける(元の歯が黒いと、黒ずんで見えてします)
  • 変色は少ないが、長期的に見ればやはり変色はする
  • 長いブリッジ治療には適さない

・対疲労性

e.maxが登場する以前の二ケイ酸リチウムガラスセラミックには、エンプレス1、エンプレス2という材料がありました。エンプレス2の登場で、従来のエンプレス1と比較して、曲げ強度が約3倍になり、クラウン、インレーからブリッジ治療までが製作可能となりました。

一方で、e.max(360~400MPa)は前身のエンプレス2(350MPa)に比べ、約50Mpaほどしか数値が上がっていません。しかし注目するべき点は、疲労耐性にあります。

Ivoclar Vivadent社が行った実験結果として、e.maxの場合、長時間の咀嚼運動にも耐えられるという結果が出ています。つまり長期間使用しても割れにくいということなのです。

曲げ強度

加工システム名曲げ強度(Mpa:メガパスカル)
エンプレス1100MPa
エンプレス2350MPa
e.max360~400MPa
gotop